→情報化社会と消費者のプライバシーについて


情報化と消費者のプライバシー
情報ネットワ—クと消費者の関係について、重要な問題として考えなければならないことは、情報ネットワークが、事業体によって、事業体の目的との関係で構築されるため、消費者のプライバシーを侵害するおそれが生じるという問題です。

プライバシ—の権利
プライバシーを個人の基本的な権利として社会的に承認してきたという歴史的な背景は、わが国ではなかったといえるでしょう。ですから、市民ー消費者の間で、プライバシーについての権利意識が定着しているとはいえないのが現状です。けれども、個人が「ひとりにしておかれる権利」ということから出発したプライパシ—の権利について、それがマスメディアとの関係で、私事をみだりに公開されない権利として考えられるようになり、さらに情報化社会といわれる現代社会では、「自己に関する情報を自分がコント口 —ルする権利」としてそれを保障することの必要性は、否定できないことです。

それは、現代社会において、個人が人間としての固有な尊厳性を確保しながら、それぞれの人格を自由に発展させていくためには、自分に関する情報を自分がコント口ールするという権利を認めることが不可欠であると考えられるからです。したがって、この権利は、現代社会では、個人の人格に密着した基本的な権利であるということになるのです。人間として生きていくための基本的な権利として、自分に関する情報を自分で管理する権利を認め、それを保障することが必要だということです。

このことは、高度情報化社会における市民・消費者のプライバシ—に関しては、市民・消費者についての情報の収集.整理.利用の問題ということになりますが、すべての場合について、プライバシ—の尊重がどのように具体化されるべきかの基本原則が、同じかたちで確立される必要があることはいうまでもありません。これについて、重要な参考になるのは、一九八〇年に経済協力開発機構が行った「プライバシ—保護と個人デ—タの流通についてのガイドラインに関する理事会勧告」です。

これは、公的な分野と民間の分野の両方についての原則とされているものですが、とくに、国内における個人デ—タの取扱いについての基本原則が示されています。巿民,消費者についての情報の事業者による取扱いのみならず国または地方公共団体による取扱いをも含めた原則で、個人情報の取扱いについての原則を市民・消費者の立場で考える場合の重要なポイントが指摘されていますので、ここで示されている原則を、次節で整理してみることにします。

ただここで前提とする必要があることは、個人情報についての欧米諸国における市民の考え方、とくにプライバシーの権利についての考え方が、わが国の場合とはかなり違っているということです。
プライバシーの権利という表現が、適当な日本語に訳せないままに使われていることからもわかるように、わが国においては、プライバシ—の権利についての市民・消費者の意識が希薄であるというのが実情です。とくに、個人についての情報を個人が管理する権利ということになると、ほとんど意識されることも、自覚されることもなく推移してきたということができそうです。

これに対して欧米諸国の場合には、市民のプライバシ—の権利についての意識が、個人の自由の一環として定着しており、したがって、個人情報を個人が管理するのが原則だということについても、各人がそれを自覚した上で、自分に関する情報を提供するのが一般だということができるのです。
OECDの設定した原則も、このようなプライバシ—の権利についての欧米型の市民の意識と、それにもとづく個人情報についての市民の考え方と行動を前提としていることに注意する必要があります。
日本では、この原則の基礎になる市民の個人情報についての考え方自体を問題にしなければならないということです。





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