→景品競争の激化で商品がおろそかになっている

販売促進のために、広告・宣伝とならんで、あるいはそれと組み合わせて、景品を提供するという行為がみられることも少なくありません。取引に付随する景品については、懸賞による景品の提供についても、また懸賞によらない景品の提供についても、景表法によって一定の制限が加えられていますので、極端な懸賞-景品競争はみられませんが、それでも、商品・サービスに景品がついていること、また懸賞が行われているという事例は、後でのベる制度の改正とも関係して増加していますし、また、商品・サ—ビスの取引と関係なく行われる懸賞も、かなり広範囲にみられます。

景品競争の問題点
商品サービスをめぐる競争が、価格、品質、およびその取引と不可分のサービス等、その商品サ—ビスの取引に固有な条件によって行われることは、市場において公正な競争を維持するための重要な要素ですし、それによって、消費者は、取引条件の決定に参加しながら自由に選択を行う地位を保障されることになります。

ところが、消費者が入手しようとする商品・サ—ビスとは関係のない景品が競争手段として加わると、その取引に固有な営業活動とは関係のない要因によって消費者を誘引することになり、消費者の的確な判断を損なうことによって販売の促進が図られることになります。とくに品質表示が不十分で商品サービスの品質等についての判断が容易でない場合には、景品競争に競争の中心が移行することになり、公正な競争とはまったく関係のない競争が中心となって市場が展開することにもなりかねません。

景品競争が消費者の判断に影響を与えることは(消費者の選択に影響がなければ景品競争が行われるはずはありません)、消費者が商品.サ—ビスの正しい選択をとおして、市場に参加し、また取引条件の決定に参加する権利を行使することを歪めて、消費者の市場における地位を引き下げることになります。景品競争が消費者の権利を損なうと考えられるわけです。

さらに、いうまでもないことですが、景品は、決して事業者のサ—ビスでも、消費者にただで提供されるものでもなく、事業者の販売促進のための経費によって賄われ、それは当然に価格に転嫁されているのですから、簡単にいえば、消費者は、懸賞による場合を含めて景品の代金を支払わされているのです。景品競争が激しく行われて、商品・サービスの品質向上や価格引下げの競争がおろそかになることも少なくありません。

その上、景品競争は、取引の対象である商品・サービスの価格とか質とは無関係な景品の価額・アイディア・品質等についての際限のない競争となることになりますし、それは大量なまた反復した広告と結びついて効果を発揮することも多い競争手段です。ですから、企業努力を要するものではなく、場合によってはアイディアの考案等を含めて、販売促進のための経費の多寡によって、競争の帰趨が左右されることになるという面を持っており、この面でも公正な競争を阻害する行為ということができます。

このように見てくると、商品・サービスに景品をつけて消費者を誘引する景品競争は、消費者の正しい判断にもとづく選択を妨げるものであり、このような方法が行われれば、消費者に一種の権利放棄を習慣づけることにもなります。そして、消費者がそれによって取引における権利を守られている公正な競争を歪めるという機能をもつことも考え合わせると、商品・サ—ビスの販売に景品競争を加えることを禁止する必要があるということになります。これは、販売する商品・サ—ビスに景品をつけるという場合のすべてについていえることですが、景品が懸賞によって提供されることになると、その悪性はさらに強くなり、問題も大きくなります。




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